自主映画を上手に撮影する設定のポイント3つを5分で解説!

いざ自主映画を撮影してみると映像が思ったよりもきれいに撮れないといった経験はありませんか?その原因はカメラの設定にあるかもしれません。この記事では設定する項目について解説を交えながら最適なセッティングの方法について紹介していきます。

映画撮影をするフィルムカメラとフィルム

自主映画撮影の基本設定

映画撮影の設定を行うにあたって変更するのはフレームレート、ホワイトバランス、f値、シャッタースピード、ISO感度です。

フレームレートの設定

 映像は短いスパンで撮影された画像を連続的に再生したものです。そして、フレームレートとは1秒間に何枚の写真を記録するかというものです。これの単位がfps (frame per second)、つまり1秒間に記録される画像の数が用いられます。別の表記として60 p(=60 fps)が用いられることがあります。fpsが大きい映像ほどなめらかになりますが、その分動画ファイルのサイズも大きくなります。

You Tubeの動画などはほとんどが60 fpsですが、映画では24 fpsがほとんどです。そのため、撮影前にカメラのフレームレートを24 fpsに設定しておきましょう。

ホワイトバランスの設定

 オートで撮影するとカットごとに色味が変わってしまうため、必ずマニュアルに設定しておきましょう。

 ホワイトバランスとは、映像の中の“白”の基準を調整するものです。光の色を定量的に表す単位として色温度(単位: K)があり、ホワイトバランスはこの値を用いて設定します。下の図に示すように、低い色温度は赤みがかった光を表し、色温度が高くなると青みがかった色を表します。

映画撮影時の色温度
色温度

色温度と数値

実際に映画を撮影する際に色温度をどのように設定すればいいかについて説明します。先ほどの説明からすると、色温度を低くすれば赤みがかり、高く設定すれば映像が青みがかると思うかもしれませんが、実際は逆なのです。色温度を低くすれば青みがかった映像が、色温度を高くすれば赤みがかった映像を撮ることができます。これは、カメラが設定された色温度を“白”と認識するため、設定した色温度と逆の色味の映像が撮影されるためです。例えば、色温度を1500 K(赤寄り)に設定したとすると、カメラはこの色温度の光を“白”だと認識するため、炎など赤みがかったものを白寄りに補正します。それによって映像全体の赤みが失われ、青みがかった映像になるということです。

実際の撮影での色温度は、基本的には屋内の蛍光灯の光が3200 K、屋外の太陽光が5500 K程度であるので、この辺りに合わせておけば良いでしょう。

シャッタースピード

 シャッタースピードは、1秒間にカメラがシャッターを切る回数の逆数であり、1/60や1/120と表記されます。つまり、1回あたりのシャッター解放時間を意味します。この値が大きいほどシャッターを解放している時間が長いので多くの光を取り込むことができます。ただし、シャッター解放時間が長いと1秒間に得られる画像の枚数が少なくなるため、映画の撮影では目的のフレームレートより小さいシャッタースピードを選ぶ必要があります。もし60 fpsの映像を撮影する際にシャッタースピードを1/30などに設定してしまうと、設定では1秒間に60枚の画像が必要なのに実際切られるシャッターは30回なので、実質30 pの映像となってしまいます。

シャッタースピードの設定における重要な注意点があります。それは、シャッタースピードの分母を、西日本なら50の、東日本なら60の倍数に設定するのが原則であるということです。

F値・NDフィルター

最後にF値について説明します。F値はレンズ内部の絞りの閉じ具合を表すもので、値が大きいほど絞りが閉じられ入る光が減少し、暗い映像になります。F値はそれだけでなく、被写界深度にも影響を及ぼします。被写界深度とは、ピントの合う範囲のことです。例えば、手前に人が立っていて、背景に看板があるとするとF値が小さいとき、ピントを手前の人に合わせると背景が大きくボケます。このことを“被写界深度が浅い”といい、ピントの合う範囲が狭いことを意味します。人物のポートレートなど、いわゆる映画のような“エモい”映像を撮りたい時には効果的ですが、逆に風景などカメラからの距離が異なる広い範囲にピントを合わせたい場合にはF値を大きくとる必要があります(目安としてf 8 ~ 11)。

以上をまとめると、人物をメインに、エモい映像を撮りたければ小さいF値で、風景など広い範囲にピントを合わせたければ大きいF値に設定しましょう。

ここで、晴れの日の屋外など、明るい場所で被写界深度の浅い映像を撮影しようとすると白飛びしてしまいます。これを防ぐために用いられるのがND(Neutral Density)フィルターです。これはいわば、カメラ用のサングラスで、レンズの先端に取り付けて使用することでレンズに入る光の量を減らすものです。NDフィルターを用いると明るい場所でも小さいF値で撮影することができます。

NDフィルターのおすすめは4と16のふたつを買うことです。この数値は入る光を何分の一にするかというもので、複数組み合わせる場合にはそれぞれの値の掛け算でNDフィルターの効果を受けることができます。

ISO感度

 シャッタースピードとF値を設定し終えたら、最後に明るさの調整を行うのがこのISO感度です。ISOはInternational Organization for Standardization (国際標準化機構)の略であり、アイエスオーまたはイソと読みます(感覚ではISOのみなら“アイエスオー”、ISO感度なら“イソ感度”と読むことが多いです)。ISO感度はレンズから取り込まれた光をカメラ内で増幅させる(=明るくする)度合いの指標です。ISO感度を上げると光を電気的に増幅させるため映像がざらついたりシャープさが失われたりしてしまいます。ISO感度は低い方がシャープでざらつきの少ない映像が撮れるので現実的には6400まで、理想を言えば1600程度までに抑えた状態で撮影できるのが良いです。夜間の撮影やカーテンを閉め切った屋内での撮影ではISO感度を上げる必要が出てきてしまいますが、f値を下げたりシャッタースピードをギリギリまで遅くしたり、照明を活用してISO感度を抑える努力が重要です。

コラム「映画撮影に使われるカメラのセンサー」

  同じメーカーのカメラ、同じレンズ、同じ設定でも撮影できる明るさには差が出てきます。この理由はカメラの“センサーサイズ”と“画素数”にあります。センサーサイズとは文字通りセンサーの大きさを表し、これが大きいほど画角が広がり、ボケが大きくなります。代表的なセンサーサイズとして、コンパクトデジカメ等に使われるマイクロフォーサーズ、一眼レフのエントリーモデルに多く採用されているAPS-C、ハイエンドモデルのほとんどに使用されているフルサイズがあります。

 画素数はセンサーの中にある画素の数のことです。同じフルサイズのセンサーでも画素数は機種によって異なります。フルサイズ4500万画素のカメラもあればフルサイズ1200万画素のカメラもあります。画素数が大きいほど画質が良いのではないかと思われるかもしれませんが、実際にはそうではありません(特に動画撮影)。なぜかというと、最近You Tubeでも多く見られるようになった4K動画(3840×2160)の画素数が約830万画素であり、極端な話830万画素さえあれば4K動画を十分撮れるためです。また、同じセンサーの大きさで画素数が多いとひとつひとつの画素の大きさは小さくなってしまいます。つまり、光の当たる面積が小さくなるので暗い場所など光が少ない環境ではISO感度を上げる必要があり、かえって画質が下がってしまうのです。

自主映画を撮影するのにおすすめのカメラについては別記事で紹介していますのでぜひご覧ください。

それでは、良い映画撮影ライフを!

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