ホワイトノイズの少ない自然な声を録音する方法を5分で解説

映画制作において、映像と同じくらい重要な役割を果たすものが音声です。一見地味な役割の音声ですが、映像と同じようにクオリティを左右する録音のテクニックがあります。むしろ、音声は誤魔化しがきかないので映像よりも難易度が高いかもしれません。

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詳しい説明を行う前に、音声の録音に必要なマイク、ケーブル、レコーダーの3つの機材とその周辺機器について見ていきましょう。

録音に必要な基本知識

マイク

音をデジタル信号に変換するために必要なマイクについて説明します。マイクには大きく分けてダイナミックマイク、コンデンサーマイク、チューブマイク、リボンマイクの4種類があります。ただ、撮影に用いられるマイクはダイナミックマイクとコンデンサーマイクなので、この記事ではチューブマイクとリボンマイクの説明は省略します。

カラオケなどでよく使用されているダイナミックマイクに対し、撮影でよく用いられるのはコンデンサーマイクです。コンデンサーマイクには形状別に用途があり、撮影で用いられるショットガンマイクと、音楽制作で用いられるマイクがあります。

どちらも精密機器なので、衝撃や埃、水などに弱いという特徴があるので取り扱いには気をつけましょう。ショットガンマイクは長い音響管を持ち、指向性に優れているという特徴があるため特定の方向からの集音性には優れていますが、横や後ろからの音は拾いにくくなっています。

一方音楽制作で用いられるコンデンサーマイクは指向性がないため立体感のある音を録音することができます。

ケーブル

続いてマイクケーブルについて説明します。録音で使用するのはXLRケーブルとよく呼ばれている音声機器専用の規格のケーブルです。

XLR端子
XLR端子

レコーダー

最後に、マイクからのデジタル信号を記録媒体に記録する役割を持つレコーダーについて説明します。レコーダーにはマイクケーブルを接続する端子と、録音の状態を確認するモニター用ヘッドホン端子、そしてゲイン調整のつまみとPADスイッチがあります。ディスプレイにはゲインが表示されています。ゲインの調整については次で詳しく説明します。

レコーダー
レコーダー

録音の方法と注意点

機材についての説明が終わったところで、セッティングについて説明します。まずマイクとケーブル、レコーダーを接続します。マイクは電池を入れた上でショックマウントにセットし、ケーブルは巻いて肩などにかけておきましょう。

このとき、屋外撮影など風の影響を受ける場合にはウインドジャマーをつけると良いのですが、屋内撮影など風がないとわかっている時にはウインドジャマーを外して録音すると低音域を失うことなく集音できます。というのも、ウインドジャマーは風切音を低減するためのものなのでどうしても低音域をカットしてしまうのです。 また、録音の際には手袋などを着用して持ち直しや手からの振動音を抑えるとよりノイズを減らすことができます。

ここで、録音時には適切なマイクケーブルの長さを選択する必要があります。というのもケーブルどうしが擦れたり、物に当たったりすることでノイズが入ってしまうのです。同様の理由で、余ったケーブルはまとめておき、録音者は不必要に動かないよう注意する必要があります。

モニターヘッドホンをレコーダーに繋いだら機材の準備は完了です!

録音装備
録音装備
ケーブルの取り回し
ケーブルの取り回し

録音時のゲイン調整

機材の準備が完了したら、続いてゲインを調整しましょう。ゲインとは、簡単に説明すると録音時の音量のことです。ゲインを上げると小さい音でも録音することができますが、音が割れてしまうリスクがあります。録音時に音割れしてしまうと編集時にどうすることもできないため、音割れは絶対にしないようにしましょう。しかしながら、ゲインを下げると録音時の音量が小さくなるため、編集時に音量を上げる必要が出てきます。この際に音質が低下するため、こちらも避けたいです。

ではゲインはどの程度に調整すれば良いのでしょうか。

最適なゲインは-6 dB ~ -12 dBです。レコーダーには音量レベルが表示されているため、これを見ながらそのカットでの最適なゲインを設定しましょう。

ゲイン調整の方法
ゲイン調整の方法

ただし、ここで注意しなければならないのがノイズの存在です。例えば遠くで聞こえる話し声を入れたくない場合にゲインを大きくしてしまうと、余計な音まで拾ってしまいます。

マイクの向きと位置

先ほどマイクには指向性があると説明しました。ガンマイクは指向性が強いためマイクの向きが非常に重要になります。原則として、撮りたい音を正面に向けて録音しましょう。具体的に、対象が人であれば口元に向けるということです。これがずれてしまうと音が小さくなったり不要な音を録音したりしてしまうので注意しましょう。

また、録音位置について、原則として対象にできるだけ近付いて録音する必要があります。このためにカメラマンと相談して画角に入らないギリギリの位置でマイクを構えるようにしましょう。

ここで、実際の録音風景を見てみましょう。これは全館空調のCMですが(ステマではないです)、演者さんの口元すぐ下までマイクが近づいているのがわかると思います。当然作品には映っていませんが、音声はこれくらい近づいて録音するのが理想です。

ラベリアマイクを用いてサブの音声を録音する場合

バラエティー番組などで芸人さんなどがつけているのがラベリアマイクで、ピンマイクと呼ばれることもあります。

ラベリアマイク
ラベリアマイク

ラベリアマイクは対象のすぐ近くにマイクを設置することができるため選択的に音を拾うことがでできますが、どうしてもこもったような音になってしまうため、録音後に編集を行う必要があります。

まとめ

今回は音声に的を絞って解説をしました。地味な役回りの音声ですが、映画の完成度をより高めることができる一方で、杜撰な録音だと映像が良くても評価の低い作品になってしまいます。ぜひ音声にはこだわりを持って制作に取り組んでください。わかりにくい点や疑問点等ありましたらお気軽にコメントをください。一緒にクオリティの高い自主映画を創りましょう。

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