【撮影】完成度の高い自主映画を撮影する際の注意点9つを解説!
撮影時に注意すべきこと
映画撮影において、内容と同じくらい重要なのが構図や映像の見やすさです。構図などは完成度を上げやすい項目なのでこの記事で学んだことを活かして満足のいく作品を撮影しましょう。
白飛び
これは特に明暗の差が激しい晴れた日の屋外撮影でよく起こるもので、暗い部分に露出(=撮影時に取り込まれる光の量)を合わせるとその他の部分が真っ白になってしまう現象です。
ここではよくある白飛びの例とその対処法について、具体的な状況から解説します。
晴れた日、屋外で日陰にいる被写体を撮影する状況を考えます。
このとき、被写体の顔は日陰にいるため暗く映る一方で被写体の背景となる日の当たった地面や建物は明るく映ります。
ここで被写体に合わせてISO感度などの設定を行うと、被写体は適切な明るさになりますが、背景が真っ白になってしまいとても見にくい映像になってしまいます。
このような白飛びを解消するためには画角の調整と照明を改善しましょう。まず、できれば明暗の差が大きい映像にならないようカメラの向きを調整しましょう。例えば直射日光が映らないようにするなど、なるべく明暗の差が小さい画角に設定しなおしましょう。これができなかったり、これでも白飛びが起きてしまう場合には照明を用いて被写体を照らすことで暗い部分を明るくして背景の白飛びを防ぐことができます。
照明の当て方については別記事で紹介します。
撮影機材の映り込み
もはやいう必要もないかもしれませんが、映像に撮影機材が映り込むと映画が台無しになってしまいます。直接の映り込みは気付きやすいのですがガラスや眼鏡に反射してカメラの後ろ側にある機材やスタッフが映り込む可能性があることにも注意しましょう。詳しくはノイズチェックの記事をご覧ください。
激しすぎる手ぶれ
これも言うまでもありませんが、激しすぎる手ぶれは観客を酔わせるだけでなく、観る気力さえも奪うことになってしまうので特に注意しましょう。
対処法として、FIXでの撮影や、スタビライザーを利用して撮影する方法があります。
一方で、手持ち特有のわずかな手ぶれは逆に観客を映画に引き込む効果もあるので手ぶれとうまく付き合っていきましょう。
FIXの多用
FIXとは、カメラを三脚に固定したままパンやチルトをせずに撮影を行うことです。全く画面が動かないので映像に動きがなく、退屈な映像になってしまうと言う欠点があります。パンやチルトではなくFIXで撮りたい場合でも、手持ち撮影に変更するだけで改善される可能性があります。
手振れある映像と動きのない映像のどちらを使用するかは監督とカメラマンがよく考えるようにしましょう。
イマジナリーライン(180度ルール)の無視
聞き馴染みのない単語かもしれませんが、映画ではほぼ必ずと言って良いほど守られているルールです。これを意識するのは複数人での会話シーンなどの被写体が次々切り替わるシーンです。具体的な状況を説明します。
2人が向かい合って会話するシーンを例に解説します。上の図で、便宜的に画像の上を北とする。Aさんを撮影するのに位置1から撮影した場合、Bさんの発言を撮影する場合は位置2ではなく位置3から撮影しなければなりません。つまり、東西に並ぶ被写体を撮影する場合には北または南側の一方から撮影しなければならないというのが180度ルールなのです。
日の丸構図の多用
日の丸構図とは、文字通り被写体を画面の中心に配置する構図です。この構図は被写体に視線を集めることができる一方で、観客の視線が動かないため退屈させてしまう欠点があります。そのため日の丸構図の多用は映画全体を面白味のないものにしてしまう可能性があります。その他、三分割構図や四分割構図、対角構図などがあるので、これらを用いて一つのカットの中で視線の移動を意識すると退屈しない映像になるので活用しましょう。
不自然な被写体以外の空間
被写体が横を向いている構図を撮影する際に、被写体の背中側に大きく空間があると違和感を与えてしまいます。
違和感を感じる原因は、観客の視線が被写体の向いている方向に誘導されるという法則にあります。これは撮影時に気が付きにくいため、絵コンテの作成時にこのような構図にならないようカット割を考えましょう。
撮影において演者が注意しなければならないこと
監督やカメラマンはこれら演者の注意点を知っておくことで作品中の不自然さを軽減することができるため、覚えておきましょう。
カット間での感情の不一致
撮影を行う際に同じカットを取り直したり日を跨いで撮影したりすることがよくあります。その際、編集時にカットを繋げてみると不自然に感情が変化していることがあります。1カット目は前のカットの意識が残っているものの、カットを重ねることで前のカットの感情が薄れて結果的にOKテイクでの感情が前のカットと異なってしまうことが原因です。
対処法としては、カメラを回しながら本来撮りたいカットの少し前から演技をしてもらうと良いでしょう。
カメラへの意識
本顔のアップを撮影したい時など、カメラが被写体に近付くことになり被写体の表情が不自然であったり目線が極度にカメラ目線、または逸らしてしまったりすることがあります。これは演者がカメラ慣れしていない場合に起こりやすく、撮影を重ねることで改善されますが、あまりにカメラと被写体が近くなるカットは避けるようにしましょう。
対処法としては、ズームレンズを用いて遠くからズームして同じ画角を確保するのが有効です。ズームをすると一般的にf値が大きくなりぼけ具合が減少しますが、ズームすることによりぼけが大きくなるため実際にはあまり気になりません。
ただしf値が大きくなることによって光量が減少して暗くなるため、屋内や夜など、暗所での撮影には照明を使うなどして対処しましょう。
まとめ
以上の項目に注意しながら撮影を行えばきっと満足のいく作品に仕上がるはずです。もし何か疑問点等あればお気軽にコメントから質問してください。
映画撮影におすすめのカメラは別記事でも紹介していますのでぜひご覧ください。
一緒に完成度の高い作品を創りましょう。